インテリアコーディネーターの視点から現代の住宅デザインを考えると、現在は「和」と「洋」の境界線をあえて曖昧にする「ジャパニーズモダン」や「スカンジナビアン・ジャパニーズ」といったスタイルが非常に高い評価を得ています。その中心的な役割を担っているのが、フローリングの上に置く畳マットです。かつての和室は、襖や障子、床の間といった様式美に縛られがちでしたが、現代の畳マットは、自由な発想で空間を彩る一つの「テクスチャ」として捉えられています。洗練された和モダンの空間を作るためのポイントは、まず畳の「形」と「色」の選び方にあります。伝統的な一畳サイズではなく、半畳サイズ、つまり正方形の「縁なし畳」を選ぶことで、空間にグリッド状の幾何学的なリズムが生まれ、非常にモダンな印象を与えます。さらに、畳の目を交互に変えて並べる「市松敷き」を採用すると、光の反射によって二色使いをしているような奥行きのある表情が生まれます。色の選択においては、フローリングの色と同系色を選ぶと空間が広く見え、逆にあえてダークグレーやインディゴブルーといった濃い色を選ぶと、そのスペースが力強いアクセントとなり、空間が引き締まります。また、畳マットの上に配置する家具のバランスも重要です。低めのソファやローテーブル、あるいはデザイナーズの座椅子などを組み合わせることで、視線が低くなり、天井が高く感じられる開放的なリビングが実現します。最近では、畳マットの側面に美しい木枠をつけた「小上がりユニット」なども登場しており、これをフローリングに置くだけで、まるで高級旅館のような段差のある立体的な空間を演出することも可能です。プロの現場では、照明計画との連動も欠かせません。畳の質感を際立たせるために、低い位置にスタンドライトを置いたり、壁面を照らす間接照明を組み合わせたりすることで、夜間には畳の目が陰影を作り出し、格別に落ち着いた雰囲気の寝室や書斎が出来上がります。畳マットは単なる床材ではなく、日本人が古来より大切にしてきた「余白の美」を現代の住まいに取り戻すための装置です。フローリングという機能的な基盤の上に、畳マットという情緒的なレイヤーを重ねることで、住まいは単なる機能的な空間を超え、住む人の美意識を反映した質の高いステージへと昇華されるのです。
インテリアのプロが語る和モダンな空間を演出する畳マット