数年前、都内の新築マンションに引っ越した際、私の新居はすべてピカピカのフローリングでした。スタイリッシュな北欧家具を並べ、モダンな生活を楽しんでいたのですが、数ヶ月が過ぎた頃、ふとした瞬間に猛烈な違和感に襲われました。それは「どこでくつろげばいいのか分からない」という感覚でした。ソファに座っている時間は快適なのですが、ふと床に座って読書をしたい時や、少しだけ横になりたい時、硬くて冷たいフローリングの上では体が休まらず、かといってラグを敷いても、畳のあの独特の弾力と安心感には到底及びませんでした。そこで私は、リビングの窓際に六枚の置き畳を設置することにしました。いわゆる畳マットです。届いたばかりの畳マットをフローリングの上に並べた瞬間、部屋の空気が一変したのを今でも鮮明に覚えています。天然い草の爽やかな香りが部屋いっぱいに広がり、それだけで心がスッと落ち着くような感覚がありました。何より感動したのは、その触り心地です。夏場、蒸し暑い日の午後でも、畳の表面はサラリとしていて、素足で歩いた時の清涼感は格別でした。以前は冷房を強くして過ごしていましたが、畳の上に座っていると、天然の素材が持つ調湿効果のおかげか、以前よりも設定温度を高くしても快適に過ごせるようになりました。朝、少し早起きをして、畳マットの上でストレッチをしたり、瞑想をしたりするのが私の新しい習慣になりました。フローリングの上では膝が痛くて続かなかった運動も、程よいクッション性のある畳の上では心地よく進めることができます。また、友人が遊びに来た際も、以前は椅子が足りなくて困ることがありましたが、今ではみんな自然と畳のスペースに集まり、円になって座って談笑しています。椅子に座るよりも心理的な距離が近くなるのか、会話も以前より弾むようになった気がします。掃除についても、当初は面倒なのではないかと懸念していましたが、実際にはフローリングをモップがけするついでに、畳の目に沿って軽く掃除機をかけるだけなので、全く負担になりません。何より、汚れたらその一枚だけを外して手入れができるという安心感があります。今では、私の家の中で最も愛着のある場所は、間違いなくこの六枚の畳マットが作る小さな和の空間です。フローリングという現代的な便利さの中に、畳という伝統的な安らぎを共存させる。この選択をしたことで、私の日常の質は劇的に向上しました。家を単に「住む場所」としてだけでなく、心身を「整える場所」として捉え直した時、畳マットは私にとって欠かすことのできない最良のパートナーとなりました。
洋室の暮らしに畳マットを取り入れて気づいた安らぎの時間