数年前に家をリフォームする際、私たち家族が最もこだわったのが、リビングの一角に広い土間スペースを設けることでした。周囲からは「冬は寒くないの?」「掃除が大変じゃない?」といった心配の声も聞かれましたが、今、実際に土間リビングで暮らしてみて、その選択は間違っていなかったと心から実感しています。私たちが土間を熱望した一番の理由は、当時まだ小さかった二人の子どもたちのためでした。泥んこになって遊んで帰ってくるのが日常茶飯事で、そのたびに玄関で靴や服を脱がせ、汚れたままの子どもを抱えてお風呂場へ直行する、という一連の流れに辟易していたのです。しかし、庭に面したリビングに土間を設けたことで、その悩みは一気に解消されました。子どもたちは庭で遊んだ後、汚れた靴のまま土間に入り、そこに設置したベンチに座って自分で靴を脱ぎ、上着をハンガーにかけます。土間の隅には小さなシンクも設けたので、その場で手足を洗うこともできます。リビングの床を汚す心配がなくなったことで、私も「汚さないで!」と叱ることがなくなり、親子共々、精神的な余裕が生まれました。また、アウトドアが共通の趣味である私たち夫婦にとっても、土間は無くてはならない存在です。キャンプから帰ってくると、汚れたテントやタープ、クーラーボックスなどを車から直接土間に運び込みます。広々としたスペースで道具を広げ、手入れをしながら次のキャンプの計画を立てる時間は、何にも代えがたい至福のひとときです。もちろん、計画段階で心配された寒さ対策には万全を期しました。基礎断熱をしっかりと行い、土間の下には床暖房を設置しました。そのおかげで、冬場でも足元からじんわりと暖かく、子どもたちは裸足で土間を走り回っています。むしろ、蓄熱効果があるのか、一度暖まると冷めにくく、快適に過ごせています。唯一、少し後悔している点を挙げるとすれば、モルタル仕上げにした床の汚れです。思った以上に泥汚れなどが染みになりやすく、時々デッキブラシで擦る必要があります。撥水性の高いコーティング剤などを最初に塗っておけば良かったかもしれません。しかし、そんな小さな後悔も気にならないほど、土間リビングがもたらしてくれたメリットは計り知れません。