土間リフォームを成功させる上で、空間の雰囲気や機能性を大きく左右するのが床材の選定です。土間は靴で歩行し、時には重いものを置いたり、水や泥で汚れたりすることもあるため、デザイン性だけでなく、耐久性やメンテナンス性も考慮して慎重に選ぶ必要があります。代表的な土間の床材には、それぞれ異なる特徴があります。最もポピュラーで、インダストリアルな雰囲気を演出できるのが「モルタル」や「コンクリート」です。継ぎ目がなくシームレスに仕上がるため、空間がすっきりと広く見えるのが特長です。比較的コストを抑えられ、耐久性も高いですが、表面にひび割れ(クラック)が入りやすいという性質も持っています。このクラックを「味」として楽しむ考え方もありますが、気になる場合は施工業者と対策を相談する必要があります。また、表面の仕上げ方(金ゴテ仕上げ、刷毛引き仕上げなど)によって見た目や滑りにくさが変わるため、どのような質感にしたいかを明確に伝えることが重要です。温かみのある雰囲気やデザイン性を重視するなら「タイル」がおすすめです。色やサイズ、質感のバリエーションが非常に豊富で、テラコッタタイルを選べば南欧風に、大判の磁器タイルを選べばモダンで高級感のある空間にと、理想のインテリアに合わせて自由にコーディネートできます。耐久性が高く、掃除がしやすいのも大きなメリットです。ただし、モルタルに比べて材料費や施工費が高くなる傾向があります。また、目地部分に汚れが溜まりやすいため、汚れが目立ちにくい色の目地材を選ぶなどの工夫も有効です。自然素材の風合いを大切にしたい場合には、「三和土(たたき)」という選択肢もあります。土や砂利に石灰や水を混ぜて塗り固める伝統的な工法で、独特の素朴な風合いと調湿効果が魅力です。しかし、施工できる職人が限られており、水に弱い、表面が削れやすいといったデリケートな側面もあるため、採用するには十分な理解とメンテナンスの覚悟が必要です。最近では、天然石や洗い出しといった仕上げも人気です。天然石は高級感があり、一つとして同じ模様がないのが魅力。洗い出しは、砂利の粒が表面に浮き出て見える仕上げで、滑りにくく和風の趣があります。