近年、リフォームや新築住宅で絶大な人気を誇るのが、リビングと土間を一体化させた「土間リビング」という間取りです。従来のように玄関の延長として独立した空間ではなく、家族が集う家の中心であるリビングに土間を取り入れることで、これまでの暮らしの常識を覆すような、新しいライフスタイルが生まれます。土間リビングの最大の魅力は、その圧倒的な開放感と、内と外を緩やかに繋ぐ独特の空間性にあります。例えば、庭に面して大きな掃き出し窓を設け、その内側を土間リビングにすれば、窓を開け放つだけでリビングと庭が一体化したかのような広がりが生まれます。天気の良い日には、土間にテーブルと椅子を出して、まるでカフェのテラス席にいるような気分で食事を楽しんだり、友人を招いてバーベキューを楽しんだりと、暮らしの楽しみ方が格段に広がります。また、土間部分は靴のまま過ごせるため、屋外での活動から室内への動線が非常にスムーズになります。庭仕事で汚れた長靴のまま土間に入って休憩したり、子どもが公園から帰ってきて泥だらけの靴を土間で脱いだり。リビングの床を汚すことなく、ワンクッション置けるスペースがあることで、日々の小さなストレスが軽減されます。この中間領域は、来客時の対応にも便利です。宅配便の受け取りや、少し立ち話をするだけの来客であれば、わざわざ靴を脱いで上がってもらう必要がなく、土間スペースで気軽に応対することができます。デザイン面においても、土間リビングは空間に豊かな表情を与えます。フローリングのリビングスペースと、タイルやモルタルで仕上げた土間スペース。異なる素材が隣接することで、空間にリズミカルな変化が生まれ、インテリアのアクセントとなります。土間に薪ストーブを設置すれば、冬の暮らしの主役となり、家族が自然と集まる温かい場所になるでしょう。ただし、土間リビングを成功させるためには、寒さ対策が不可欠です。床下からの冷気がリビング全体に伝わらないよう、基礎断熱を徹底したり、床暖房を設置したりといった入念な計画が求められます。また、土間とリビングの段差をどう処理するかも重要なポイントです。
リビングと繋がる土間で生まれる新しい暮らし